| 行の和室 |
長押は付けられる場合、付けられない場合と各種あるが、正式な形の付書院の付く部屋はほとんど見られない。 もちろん付書院を省略した部屋もあるが、付書院の付く部屋
でも、外部に張り出させず平書院とし、内部に卓板や地袋を付けた場合、さらに草の部屋の意匠の一つと考えられる下地窓を書院の代わりに配した部屋など、略式の付書院とでも呼べるものがほとんどである。付書院の厳格さと、自然木の持つあたたかさとはどうしても調和しないということであろうか。伝統的な形式の付書院は、これに組み合わされる部材すへてに厳格さを要求するかのごとく思われる。そうしてみると、嵌(はめ)ころしの欄間に4枚引違いの小障子を持つ伝統的な形式の付書院こそ、真・行・草の真の座敷の代表する要素といえるかも知れない。
今あげた略式の付書院の他に、行の座敷を特徴づけているのが床の形式である。 ここにあげた7点の写真はすべて框床である。行の座敷と草の座敷との境界は極めて曖昧であるが、行の座敷であるためには、少なくとも床の形式は壁床や踏込み床のような略された形ではだめで、框床か、少なくともそれに準ずる床でないといけない、という事になろうか。同じ框床でも写真6と7とは、床柱と床框の双方に丸太を使っており、極めて草の要素が強い。
しかし写真6は平書院が付、出文机の形式を取り、また写真7は天袋が付いた床脇を付属し、全体としては格式ばった感じを与えるので草の座敷といえず、行の座敷の中に入ったのである。
写真1は二問床に矩折りに端正な違棚と天袋とが配され、床や棚内部は張付壁になっている。真の座敷の要素を持つが、柱が面皮柱で、木部に色付けが施されているために柔らかさを感じさせる。他の座敷にも必ず草の要素が混じっている。たとえば、写真2は床柱の磨丸太と床脇の網代天井が、写真3は床柱と長押の磨丸太が、写真4は大下地窓と面皮柱がそれぞれ草の要素である。
(全国銘木青年連合会 「銘木資料集成」より抜粋 佐藤洋司氏/佐藤建築研究室) |

写真1
床柱:杉色付万皮柱
床框:黒呂色溜漆塗
四分一:春慶塗 |

写真2
床柱:杉磨丸太
床框:呂色溜漆塗
各柱:檜
落掛:赤杉
書院卓板:肥松
長押:赤杉柾
書院天井:網代張 |

写真3
床柱:杉出絞丸太
床框:黒呂色溜漆塗
各柱:杉面皮柱
落掛:赤杉
長押:杉磨丸太半割 |

写真4
床柱:赤松前杢面取角柱
落掛:桐柾
床脇地板:肥松中杢
琵琶台:肥松中杢
倹鈍:霧中杢目
各柱:杉面皮柱 |

写真5
床柱:杉面皮付柱
床框:黒呂色漆塗
落掛:桐柾
床脇地袋天板:肥松中杢 |

写真6
床柱:杉六角ナグリ石灰処理
床框:杉靨皮付半割
落掛:赤杉柾
各柱:杉磨丸太面付柱
書院壁止:白竹芽付
書院卓板:黒松中杢 |

写真7
床柱:杉入絞丸太
床框:杉皮付半割天端落し
黒呂色漆塗り
各柱:杉面皮柱
落掛:赤杉柾
床脇地板:赤松中杢 |