どんなジャンルであれ、趣味に没頭すると、世の中の事象をすべてその趣味になぞらえて考えるようになります。
会議で自分の提案が選ると「クリーンヒットだった」、通らないと「三球三振に終わったよ」、通るかどうかわからないときは「まさにいまは九回裏2死満塁の心境」などと野球に例えるのはよくある話。ある人は競輪に例え、ある人は映画に例え、ある人は囲碁に例えるかもしれません。
で、落語ファンはと言えば、当然落語になぞらえます。
先日、「これってまるで『鼻ねじ』ですね」と私のファンが教えてくれた事件がありました。
それは、岐阜県の小さな町にある、養蜂場に隣接したゴミ焼却場での出来事でした。
焼却場の職員が、養蜂場のハチにしょっちゅう刺される。たまりかねた職員が養蜂場の社長に直談判に出向くと、こんなセリフが返ってきました。
「うちのハチだという証拠がどこにある。ハチの体に印でもあれば、話は別だが。そんな言いがかりはやめてくれ」
さあ、言いがかりだと言われた焼却場の職員は、飛んできたハチを殺虫剤でどんどん殺し始めました。
今度は養蜂場の社長が飛んで来て文句を言うと、「そちらのハチだという証拠がどこにある。ハチに印がついているわけじゃなし、言いがかりはやめてくれ」
これとまったく同じ噺が落語「鼻ねじ」(関西では「となりの桜」)にあります。
庭に咲いていた桜の木の枝がのびて、隣の家の庭にまで入り込みました。
すると、隣の住人がチョキンと枝を切ってしまいました。
番頭に苦情を言わせると、隣の先生は番頭に手紙を渡した。
中には
「なんであれ、こちらの庭に出た枝は、切ろうと折ろうとこちらの勝手」
と書いてありました。
腹が立つが、理屈が通っているような物言いに、正面から反論はできない気もします。
そこで、番頭が言うことには
「盛大な花見をしましょう」
そのときは番頭の企みが理解できないまま、旦那は庭でドンチャン騒ぎを催しました。
うるさくてしょうがない先生、隣との境にある塀の節穴から様子をのぞこうとしましたが、向こう側から綿を詰められ、ふさがれてしまいます。
仕方がないので、台に登り、塀の上から頭を出じたとたん、待ちかまえていた番頭が、持っていたペンチのようなもので先生の鼻をはさみ、思いっきりねじって言いました。
「なんであれ、こちらの庭に出た鼻は切ろうと折ろうとこちらの勝手」。
鼻ねじ現象が全国、いや世界で起こっています。
戦争も結局は、鼻ねじですもんねえ。
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