雨量・風速を体感できる単位とは?
2004年9月10日毎日新聞掲載
文:立川志の輔

 気象庁が発表する気温と体感する温度にズレがある、と思うことがよくあります。

 今年のようにこう暑さが続くと、ぐったりとして、これ、40度ぐらいあるんじゃない?

 もうまるでインドだ、とインドヘ行ったことがない人までそう思います。

 発表された数字と、私たちが体で感じる感覚とのズレ。

 1時間半お待ちください、と言われれば、口をとんがらかして即「ええー!」と不満顔になりますが、「90分お待ちください」と言われると「まあ、それぐらいなら待ってもいいか」と思ったりして。

 え?私だけですか?

 雨量にしても、目の前でトラックが横転し、民家の屋根が傾いているテレビ画面の隅に雨量○○_の文字。

 この「ミリ」が私にはピンとこない。

 確かに、小学校のときに習ってはいるんですよ。

 時間雨量が100_というとこれは大変な量。でもピンとこない。

 ある先生は生徒にピンとこさせるためにこういう方法をとったそうです。

 小さな色画用紙を手に「100_の雨量というのは、この画用紙の大きさにどれくらいの雨が降るか分かりますか? なんと、これだけ降るのです」と、水を入れたタンクを見せたそうです。

 風速10bと言われてもそんなものか、ふうん、と思うだけですが、これは秒速なので、時速に直すと36`。

 最大瞬間風速50bといえば、時速180`ですから、新幹線が通り過ぎる速度。

 実感がわきます。

 体にいい栄養素がドリンクに1000_c配合されていると言えば効きそ〜と思いますが、なんだ1cぽっちなのか、とも。

 知らず知らずに「単位」に偏見を持ってしまっている私たち。

 なんだかわからないからこそいいものもあります。

 懐かしいプロレスリングアナは叫んでいました。

 「青コーナー、250パンド、アントニオ猪木ィ〜」

 具体的に何`だかわからないけど、強そ〜。

 「青コーナー、113`、アントニオ猪木ィ〜」。

 これじゃ、わかりすぎてかえって強くなさそう。

 神秘性、カリスマ性、エンターティンメント性をもたせるためにパウンドという単位を日本でも使ったプロレス界は頭いい。

 昨今の台風被害を見るにつけ、ほんとに怖いんだぞ、とわかるような雨量、風速の表現方法はないものでしょうかね?


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