朝、起きると手足の関節に鈍い痛みが走り、まず頭に浮かんだのは「痛風」の二文字でした。
私ら落語家にとって必須の正座ができなくなる痛風。かって、松葉杖をついて楽屋入りした兄弟子の病気が痛風だと知ったときの驚き。
これは大変とあわてて病院へ駆け込みました。
「そうですね、血液検査の結果を見るかぎり、尿酸値はそんなに高くはないので、痛風とは考えにくいですね。でも、念のためビールは控えられたほうがいいでしょう」
ものすごく説得力のあるサジェスチョンでした。
そう言えば、落語会が終わるたびに飲むビールの本数は普通じゃないもんなあ、ビールはプリン体の王様で、痛風の王様らしいから、とビールを飲みながら盛り上がっていました。
そんなの日本の常識、世界の常識。
この常識を裏付けるデータに、7月は痛風の発生時期のトップであり、ビールの売り上げ最盛期と一致するというのがありました。
ところが、忘年会シーズンの12月もビールの売り上げは急激に伸びるのに痛風発生率は低い。これはおかしい、と考えたわが「ためしてガッテン」チームがこの問題に取り組みました。
16日放送の番組を御覧になった方にはもうガッテンしていただけたでしょうが、その結果になにしろ驚いたのは司会の私自身でした。
痛風の元である尿酸、その尿酸の元であるプリン体の7〜8割は私たちの体の中で作られるそうで、食べ物から摂取するプリン体の量などはたかがしれているのだそうな。
ということは、外部から摂取するビールの量くらい、痛風にはほとんど関係ないのです。
ではなぜビールが今まで悪役に仕立て上げられてきたのか?
たしかにアルコールの中では、プリン体の含有量が一番多い飲み物ではあるのですが、そんなことを言ったら納豆だってかなりのプリン体を含んでいるのでお医者さんは「ビールと納豆を控えてね」と言わなければならなかったはず。
なぜビールだけが痛風の元凶というぬれぎぬを着せられなければいけなかったのか?
7月は暑い、汗をかく、すると血液が濃くなる、これが痛風の原因だそうです。だから夏はたっぷりと水分を摂取することがのぞましい。
もちろん、痛風の原因は、遺伝をのぞくなら、ストレス、激しい運動、喫煙、アルコール全般の飲み過ぜ、というあたりまえと言えばあたりまえの、どの病気にもあてはまる要因があります。
要するに無理して偏ると免疫力が落ちていろんな病気を引き寄せるよ、ということ。
でもなにか具体的なものにぬれぎぬを着せて安心する姑息な人間の心理ってあるのですね。ビールさえ飲まなきゃ痛風にはならないと思えば対処がしやすい。
今まで自分の生活習慣を棚に上げて、ビールさん、ごめんなさい。
かと言って安心してビールを飲み過ぎてもいいということでは全然ありませんので、くれぐれも衝注意を。
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