小さなニュースが気にかかる
2004年6月4日毎日新聞掲載
文:立川志の輔

 最近、なぜか小さいニュースが気になります。

 新聞で言えば、紙面の小さい囲み記事が。

 というのは、いっとき大々的に話題になった後始末記事が、小さく掲載されていることがあるからです。

 紙面の大小、ニュースとして取り上げられる回数の多さが、事の重大さとイコールのこともあれば、タイムリーという要素の陰に隠れて、大事なことが扱われないこともありうるような気がします。

 そして、マスコミが重要だと判断するニュースと、各個人が必要だと判断するニュースの間にはずいぶん隔たりもあります。

 スポーツ紙で、シマウマ女子トイレたてこもり事件のわきに小さく掲載されていた記事発見。

 そこには、輸血用血液にウィルスが混入していたという日赤調査が発表されていました。

 エイズウィルス問題であれほど驚愕を与えた事実が明るみに出て、何人もが反省し、システムが新たに作られたはずなのに、1日発表の日本赤十字社報告では、保管血液1万7174本のうち、210本からB型肝炎ウイルスなどがみつかった、なんて。

 そして、その結果、6人がすでに感染していたなんて。

 こんな不幸なことがまだ続いていたのか。

 明日にだって、事故にあって輸血しなきゃいけない事態になるやも知れず、そのとき、血液の安全を確認する間はないでしょう。

 「その血液、大丈夫ですか?」

 そんな余裕はないでしょう。現場に駆けつけた家族や知り合いが医療関係者に再確認を要求したとしても、通じないでしょう。

 もう、運を天に任せるしかないわけです。

 なんとかならないの、安全な血液確保。

 素人が何を言う、パーセントで言えば、これでもずいぶん安全になったのよ、と玄人は言うかも知れない。安全である確立は上がったのよ、と言われても被害者の怒りと国民の不安は消えません。

 また、あのBSEで焼き肉店がどんどんつぶれていった痛手が少しやわらいだころアメリカ産輸入牛肉全頭検査が、ゆるゆるになりそうな法案が検討され始め、そのうち、確率的には、まあ、きっと大丈夫なんじゃないかな、多分大丈夫だと思う、大丈夫だと言うのにやぶさかではない、大丈夫だということになんの反論があろうか、いや、ない、みたいな感じって感じ〜、みたいなことになって、今は果たしてどうなっているのでしょう?

 声をあげない個人より、まとまる業界の声は大きいですからねえ。

 もちろん、私だって牛丼食べたい派ですがね。

 ニュースの後始末記事をしつこく見つけ、個人個人が頭の中で事件の行方を追っていくことが大事な時代になりました。

 マスコミの、その日のニュースランキングは、必ずしも個人にとっての順位とは一致しないわけで。

 自分のニュースランキングを毎日、確かめておく習慣をつけるのが大切だなあとつくづく思います。

 さて、今日、私の最大ニュースは……あ、これだこれこれ……。


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