九州福岡の旅と言えば、太宰府天満宮、福岡ドーム、キャナルシティ。足を延ばして有田焼に唐津焼、といったところでしょうか。
でもこの春、私はそんな観光の目玉にはなっていないけれど、思いっきりリラックスできる別世界を満喫してきました。
しかもそこは偶然私が30年間憧れていた場所だったことがわかり、感激もひとしおでした。
井上陽水さんの名アルバム「センチメンタル」に入っている「能古島の片想い」という曲をご存じでしょうか。甘酸っぱい感覚……今も胃に残っています。てっきり架空の島ノウコシマだと思っていたのに、正しくはノコノシマ。
福岡県西部の姪浜を出てフェリーにて10分ほどで到着した島は、周囲12`、船着き場には民家もちらほら。
昔、歌から抱いていたイメージとはかなり違いましたが、島に上陸してアイランドパークに入ると、まるで別世界。
5万坪の大公園に自然に咲く草花、古い民家、眼前に広がる穏やかな海。
はっきり言って、時間が止まっていました。
当然、福岡県か市の経営かと思っていたら、なんと個人の経営だと言うではありませんか。
ときは明治時代にさかのぼります。
現経営者の久保田さんの先祖がこの広大な土地をサツマイモ栽培のために確保。サツマイモづくりに励んでいたのですが、その孫があるとき、東京で近代的なサツマイモ畑を見学、同じようにサツマイモをつくって売っていても未来はない、次の時代のニーズに合うものは何かと考え、当時の金で100万円で樹木を購入「ここを日本のハワイにするのだ」と大胆に宣言−。
昭和39年のことでした。
観覧車もジェットコースターもない場所に、お金をかけて誰がくるものか、という意見が大勢をしめ、正気の沙汰かとまで言われ、それでも信念をまげず頑張り抜いて、今では年間20万人の心をひきつける島になりました。大手鉄道会社から売ってくれないか、と言われたときにはさすがに悩みました、と、言いながらもおじいちゃんの先見の明に驚き、私に話さずにはおかなかった久保田会長夫人。
今や、なにもないことがかえって功を奏し、のんびりできると密かに人気が出ています。
だって、朝、フェリーでこの島に着くと、もうどこへも行きたくなくなるんですから。ゆえに、観光コースにはのりづらい島ですが、だからこそ、ゆっくりしたい向き打はうってつけの場所です。
これがほんとの贅沢というものでしょう。
ゴールデンウイークに福岡行きを決めた方は是非どうぞ。行けない方は「能古島の片想い」をかけてみてくだい。
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