日本のアニメが世界的に認められ、原作が落語だと1いうのでにわかに私のまわりで「ね、あたま山っていうのはどういう筋なの?」と聞かれることが多く、嬉しくなります。
アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた山村浩二監督の作品「あたま山」は、まだ見ていないのですが、原作を現代的に解釈しなおした作品だとか。
手書きの風合いの絵に、国本武春さんの浪曲と三味線演奏がかぶさってくると聞くと、どこかでいつか見られるだろうそのときが楽しみ。
ちょうど桜の咲く時期にもたらされたグッドニュースです。
落語をまるで知らない人には、最初にこの「あたま山」の節を話すとたいがいの人が落語に興味をもってくれます。今まで落語に抱いていた古くさいイメージがくずれるのでしょう。
友人からサクランボをもらった男、普通ならペッと種を出すところが、この男、種ごとサクランボを食べてしまいました。
するとなんということでしょう、頭の上にニョキニョキと桜の木が生え、みるみるうちに立派に育った桜の木。近所の人がこの桜のまわりで花見の宴会を始めました。酒が入ればケンカも始まります。頭の上でケンカなんてされた日にはうるさくてしょうがありません。
耐えかねた男は、エエーイッと桜の木を引っこ抜いてしまいました。あとには大きな穴が残りました。そのまま暮らしていたある日、雨が降り、穴のあいた頭のまま傘もささずに外へ出かけたところ、穴に水がたまり池ができました。池にはボウフラがわき、魚が住むようになりました。すると今度は池のまわりに釣り人がやってきて、しまいには花火大会まで始まります。
頭の上で花火大会、想像してみてください。
うるさくて生きているのが嫌になったこの男、ついに、この池に身を投げて死んでしまいました、という落語。
シュールというかSF的というか……。
自分の頭の中に飛び込む自分とはどういうことなんでしょう?
うがった見方をすれば、今起きてる戦争だってそう。かつて武器を与え戦を教えた国の兵士と今戦っているアメリカ、食い過ぎてダイエットしなきゃとジムまで車で行ってルームランナーで走ってる人、情報過剰で身動きとれなくなって精神を病む人、仲良くなろうと携帯電話で頻繁に連絡を取りすぎてケンカ別れする人、頭の中に大きな穴を抱えた人がいっぱい。
敵は我が身に有り、ってことを「あたま山」は教えてくれるのかも。
4月7日はアトムの誕生日。人間の気持ちがわかるだけに悩める存在になったロボット、アトム。
まだまだ先だと思っていたのに、アトムの時代まで生きてしまいました。
師匠談志のパーティーでお会いしたことがある手塚治虫先生。やさしい笑顔の裏に未来への憂いも含まれていたような。
満開の桜は、やはりちょっと淋しい。
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